「脱VPN」の現実解としてのVPNaaS — 認証情報が漏れても「そのデバイス」がなければ侵入されない仕組みとは

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VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)はリモートアクセスの定番手段として長年使われてきましたが、近年はVPN機器そのものが攻撃の足がかりとして使われるケースが国内外で報告されています。

とはいえ「すぐにゼロトラストへ移行を」と言われても、専任担当者がいない中小企業には無視できないハードルがあります。本記事では、そのギャップを埋める選択肢として注目されるVPNaaS(VPN as a Service:クラウドで提供するVPN)を取り上げ、従来のVPNとの違いと「認証情報が盗まれても入れない」状態を作れる理由を整理します。

VPNの仕組みと見落とされがちな前提

VPNはインターネット上に暗号化されたトンネルを作り、社外から社内ネットワークへ安全に接続する技術です。

従来型のVPNでは、インターネットに常時接続された物理的なVPN機器をネットワークの境界や内部に設置し、そこを入り口として使うというネットワーク設計が必要です。

VPNは、正しく運用すれば有効な手段です。

ですが、正しい運用を成立させるには、メーカーが定期的にパッチを提供し、管理者がそのパッチを適切に適用し、機器の構成を正しく維持し続ける必要があります。

これらのどれか一つでも崩れると、VPNの安全性に影響が出ます。

「パッチが長期間適用されていないVPN機器が侵害にあった」という事例は、医療機関や製造業などでも実際に発生しています。

また、従来型VPNは一度接続が確立すると社内ネットワーク全体に広くアクセスできる設計が一般的です。攻撃者が正規の認証情報を入手した場合、一気に社内システムへ侵入ができてしまいます。

なぜVPNは攻撃者に狙われ続けるのか

VPN機器は24時間365日インターネットに接続する必要があるため、常にネットワークからの攻撃を受けるリスクを持っています。

さらに、攻撃者も悪用の可能な脆弱性を探し、攻撃の機会を常に伺っています。

そのためパッチ適用が遅れたVPN機器はサイバー攻撃の格好の侵入口となるのです。

IPAが毎年発表する「情報セキュリティ10大脅威」でも、VPN機器を含むネットワーク機器の脆弱性悪用が組織への脅威として複数年にわたり挙げられています(「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編)。特にゼロデイ脆弱性が悪用されると、パッチがリリースされるまでの間は攻撃を防ぐことが極めて困難です。

また、認証情報の漏洩も深刻です。フィッシングメールやマルウェアによってVPNのID・パスワードが攻撃者の手に渡るケースが増えており、多要素認証(MFA)を導入していない場合は認証情報の漏洩が不正アクセスに直結します。

さらに、製造設備やビル管理システムの保守目的で設置されたVPN機器が情報システム部門の管理対象から外れているケースもあります。こうした「管理の死角」にある機器は、パッチ適用やログ監視が後回しになりがちで攻撃者に狙われやすくなります。

VPNaaSは何が違うのか

VPNaaSはクラウド上でVPN機能を提供するサービスです。
では、VPNaaSはどのようなメリットがあるのでしょうか。

脆弱性管理の負担がなくなる

パッチ適用やシステムメンテナンスはベンダー側が担うため、脆弱性を突いた攻撃のリスクを大幅に低減できます。専任の情報システム担当者が存在しない中小企業にとって、この運用負担の軽減は大きなメリットです。

「認証情報」と「デバイス」の両方を確認する

従来型VPNは認証情報が正しければどのデバイスからでも接続できます。VPNaaSではこれに加え、接続しようとしているデバイスが事前に登録・信頼されたものかどうかを確認させることが可能です。

これにより、次の運用が実現できます。

・認証情報が漏れても、登録済みデバイスがなければ接続不可

・会社支給PCや事前登録済みデバイスからのみアクセスを許可

・未登録デバイスからの接続は、認証が通っても拒否

これはゼロトラストの考え方に近く、「認証情報が正しい=その人物だ」という前提を疑い、認証済みデバイスを所持している事実も合わせて確認する二重のチェックとして機能します。

VPNからスムーズに移行できる

ZTNA(Zero Trust Network Access)はアプリケーションごとにアクセス権を細かく設定するアプローチでセキュリティ水準は高い一方、既存システムへの対応や設定の複雑さが中小企業での導入障壁になることがあります。

VPNaaSは従来型VPNと同様の「社内ネットワークへの接続」という形を維持しながら認証を強化する設計のため、既存システムへの改修が少なく移行しやすい点が特徴です。

対策・実践ポイント

宝情報ではVPNaaSとして以下の製品を取り扱いしています。

1ユーザーから利用可能な製品になりますので、クラウドソリューションの最小購入数にハードルがあった企業様にも導入しやすい製品となります。

それに加えて、導入前後の対策・実践ポイントについても紹介いたします。

VPN機器の棚卸

どの機器がVPN機能を担っているか、サポート期限・最終パッチ適用日を確認します。外部ベンダーが設置した機器が管理台帳に記載されていないケースは要注意です。

段階的な移行

一部の利用者・用途からVPNaaSに切り替え、問題がないことを確認してから全体展開するアプローチがリスクを抑えた移行に有効です。

VPNからスムーズに移行できる

VPNaaSへの移行に合わせて、IDaaS(Identity as a Service)やIAM(Identity and Access Management)との連携を検討すると、セキュリティ水準をさらに高められます。

ユーザーごとのアクセス権を一元管理し、「誰が・どのリソースに接続できるか」を細かく制御できるため、MFAの一元適用や退職者アカウントの即時無効化といった運用も整いやすくなります。

まとめ

VPNは引き続き有効なリモートアクセス手段ですが、機器の脆弱性管理と認証情報漏洩への対策という二つの課題があります。
VPNaaSは、脆弱性管理をベンダーに任せながら「正しい認証情報」と「登録済みデバイス」の両方を確認することで、従来型VPNの弱点を補う現実的な選択肢です。

「現在のVPN運用に不安がある」「いきなりゼロトラストは難しい」という場合の移行ステップとして、ぜひ検討してみてください。

本記事はサイバーセキュリティ対策に関する一般的な情報提供を目的としたものです。自社の規模・環境を考慮した上で、最適な製品をご選定ください。

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